法定利率が下がると保険料が上がる?

こんにちは。

本記事をご覧いただきありがとうございます。

本記事では「法定利率が下がると保険料が上がる?」と題し、法定利率と保険料の関係性について説明いたします。

直近では2020年の4月の民法改正に伴い、法定利率が下がりました。

その際保険料はどのように変化したと思います?

結果、保険料は上がりました。

特に、対人賠償を補償する自動車保険や個人賠償責任保険の保険料が商品改定と称し、保険料増加を行いました。

(直接的な影響は栄元されておりませんが、企業向けの各種賠償責任保険にも影響したものを見込まれます)

理由について説明いたします。

①まず、保険会社は保険契約者(保険加入者)が支払った保険料(掛金)の「一部」を事故が発生した方に対し補償する保険金(補償金)として充当します。

②対人賠償を補償する各保険では、対人事故によって発生した被害者への「経済的な損失」を損害賠償として支払います。(保険はその金銭的な裏受けとして補償します。)

③「経済的な損失」については事故がなければ将来にわたって得られたであろう利益を「喪失(逸失)利益」として積算します。

④「喪失(逸失)利益」に対する損害賠償は、「将来(場合によっては長期にわたる)損失を「金銭で一括で支払う」という特徴があります。

⑤その将来にわたっての損失の金額を金銭を支払う現在の価値に行うため、損害賠償のなかで「中間利息控除」という控除が行われます。

簡単に言うと、将来にわたっての喪失利益が1億円の場合に、その1億円を現在価値に置き換えると9900万円になることを指し、この100万円の控除額を「中間利息控除」といいます。

※中間利息控除は将来にわたっての1億円を現在受け取ってしまうと、1億円を預金した際に「将来」に至るタイミングでは1億200万円となってしまい、喪失利益の金額を超過してしまうのを避けるために行われます。

⑥法定利率が下がると、この中間利息控除の金額が小さくなり、損害賠償金額が増加します。=保険会社が支払う保険金(補償金)が増加するという形になります。

⑦保険会社にとって、保険料(掛金)=収入は変わらないまま、保険金(給付金)=支出が増加すると、保険契約の収支が悪化します。

⑧採算を取り戻すために商品改定を行い「保険料(掛金)」を増加させます。=収入を支出に併せ増加させることで採算を確保しようとします。

⑨その結果として、保険料が引き上がる(増加する)ということになります。

上記が法定利率が下がると保険料が上がる理由となります。

本記事は以上となります。

最後までご覧いただきありがとうございました。

本記事をご覧いただいた方の保険知識向上に寄与できたなら幸いです。

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