こんにちは。ご覧いただきありがとうございます。
本記事では、保険を扱う際に出てくる「無責」と「免責」という言葉の違いについて解説します。
一見似たような言葉ですが、保険上で扱われるそれぞれの言葉の意味は全く異なります。ぜひ覚えてみてください。
「無責」、「免責」それぞれの言葉の意味は下表のとおりです。
言葉 | 意味 |
無責 | 保険金支払いの事由とならない状態 |
免責 | 保険金支払いの事由とはなるものの、保険約款上の免責条項に該当する場合 |
もう少し細かく解説します。
【無責】
無責とは、保険金支払い事由とならない状態を指します。
例えば、火災保険においては晴れた穏やかな何もない日の建物のような状態です。
わかりやすく言うと、補償条項に「不足かつ突発的な事由により保険の対象が損害を受けた場合」と定められている保険を契約しているのに、「保険の対象に損害を受けていない場合」などが該当します。
仮に保険の対象が自宅の建物だとして、何も損害は発生していないのに保険会社へ保険金を請求しても、そもそも損害が発生していないので保険金を支払う状態にないということになります。
違う例を出すと、例えば法律上の損害賠償責任を補償する賠償責任保険に加入していたとして、ある日予期できないほどのとてつもない突風が吹き、自宅の木が道に倒れ、近くに停車していた自動車にぶつかってしまったとします。予期できないほどの突風によって木が倒れたことに、木の所有者が損害賠償責任を負わないと判断された場合、仮に個人賠償責任保険に加入していても保険は「無責」となります。法律上の損害賠償を補償する保険にあって、損害賠償責任がないと判断されたからです。
(=保険金支払いの対象となり得る事故すら発生していなかったと解釈されるためです)
この「保険金を支払う状態にない」ことを保険用語では「無責」といいます。
【免責】
免責は保険金の支払事由には当てはまるものの、保険約款上の免責条項に該当する場合をいいます。
例えば、「火災保険を付保していた自宅が火災によって全焼した」場合には、「火災を含めた不足かつ突発的な事由によって保険の対象である自宅」が損害を受けたという時点で火災保険の支払の対象事由には該当します。
ただし、その理由が自宅の所有者の故意(わざと)であった場合はどうなるでしょうか?
火災保険では保険金受取の権利がある人間の「故意・重過失」による事故を「免責条項」と定めています。本例はまさしく自宅の所有者=受取人が故意に火災を発生させているため、保険約款上の「免責条項」に該当します。
別の例として賠償責任保険の例を出すと、賠償責任保険では「地震・噴火・津波によって発生した損害賠償責任」は保険約款上「免責」とすることが明記されています。
仮にテーマパーク近辺で地震が発生し、来客者を高台に逃がすのが遅れてしまい津波に巻き込まれ来客者が死亡してしまったという場合に、テーマパーク側に損害賠償責任が発生する場合がございます。
この場合、仮に損害賠償責任が発生しても、保険約款上、津波に起因する事故は対象外となっているため、保険契約上は免責事由に該当し、保険金受取の対象となりません。
このように保険約款上「保険金を支払う場合」には該当する者の、「免責条項」にも該当してしまうものを一般的に「免責」と言います。
以上が「無責」と「免責」の違いです。おわかりになりましたでしょうか?
細かな部分ではありますが、それぞれの言葉の意味をご理解いただけましたなら幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。
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