【労災総合保険】補償範囲確認のポイント ~政府労災保険との整合性と労災総合保険の限界の確認~

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本記事では労災総合保険における、補償範囲を確認する際のポイントを解説として「政府労災では補償されるものの、労災総合保険では補償されない事故」についてご説明します。

政府労災と労災総合保険の原則的な補償範囲の違いを理解し、労災総合保険での不足範囲について特約での担保の必要性の検討や、労災総合保険には政府労災と全く同じ補償範囲とすることはできないと限界を理解したうえで、社内的な共通認識をとっていくことが重要です。

主な補償範囲確認のポイントと、政府労災及び労災総合保険での補償範囲は以下の通りです。

特に上記表内の天災(自然災害)に起因する事故について、労災総合保険では原則補償対象外ということを理解し、特約での復活担保の必要性を検討しておくことが重要です。

2011年に発生した東日本大震災等の大規模な地震発生時には、揺れや津波により死傷した労働者に対し、政府労災での補償が多くなされています。

また多くの企業では、災害補償規程で補償対象とする事故を「政府労災で補償される場合」と定めております。

しかし、災害補償規程の財源として裏受けしている労災総合保険では、地震・噴火・津波による事故は原則「補償対象外」となっています。

そのため、以下のような危険が発生する可能性があります。

上記のような危険を回避するために、地震・噴火・津波等に起因する労災事故発生の可能性について検討し、特約による復活担保の要否を確認しておくことが重要です。(仮に補償しないとしても、社内でその旨の整理をつけておくことが必要です。)

また、アスベストに起因する事故や、放射物の漏洩に関する事故は例え政府労災で補償対象となった場合でも労災総合保険で補償を行うことはできません。

アスベストや放射物事故は保険約款上「絶対免責」と言われ、特約等での復活担保ができません。

このような場合には、労災総合保険(損害保険)の限界と理解し、政府労災及び災害補償規程と乖離が発生しうるということを社内で整理しておくことが重要です。

(場合によっては、労災総合保険では対象とならない事故は災害補償規程による補償金・弔慰金の支払対象外とするなど、規程で定めることも考えられますが、社員からすれば気持ちがよいものではないと思われ、説明等には注意が必要です。)

以上が労災総合保険における補償範囲確認のポイントです。

必ずしも労災総合保険は万能でないことを理解し、政府労災・災害補償規程との整合性確保のための検討や、限界がある部分については自己負担せざるを得ないということを整理しておくことが重要です。

労災総合保険に関する別記事も掲載しております。ぜひご参照ください。

役員傷害保険の必要性 – ぽくつの「保険勉強会」

労災総合保険と業務災害補償保険の違い(概要) – ぽくつの「保険勉強会」

【労災総合保険】災害補償規程との整合性確認のポイント – ぽくつの「保険勉強会」

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